Telmina's Diary X

Share on Mastodon

【「Fediverse Advent Calendar 2025」特別寄稿】敢えてFediverseを否定的に語ってみる。

 この記事は、「Fediverse Advent Calendar 2025」14日目の記事です。

Fediverse

 おはようございます、こんにちは、こんばんは。

 テルミナ™と申します。

 Mastodon日本語圏の方であれば、政治系コミュニティ「LIBERA TOKYO」の管理者としてご存じの方もいらっしゃるのではと思われます。

 今回、「Fediverse Advent Calendar 2025」特別寄稿と称しておりますが、敢えてFediverse(俗に言う「分散型SNS」だが厳密には異なる)に対して否定的に語ろうと思います。

 なお、下記の「本記事で想定する読者の対象外の方」にひとつでも該当する方は、恐らく本記事から得られることは何一つないと思われますので、本文には進まず、お引き取りいただくことをおすすめします。

 上記に該当する項目が全くなかった方のみ、この先をお読みください。

 また、これからFediverseに入門あるいは再入門しようとお考えの方には、Fediverseが決して大手SNSにありがちな右傾化や無法地帯化と無縁の場ではなく、それなりの負の面もあるということをご認識いただき、その上で本記事をお読みいただくことで、入門あるいは再入門の是非をご判断いただく材料にしていただければと思います。


敢えてFediverseを否定的に語ってみる。

はじめに

 私は過去に、今でも愛用している分散型SNSプラットフォームである「Mastodon」以外にも、いくつかのFediverseプラットフォームで運営されているサービスに手を出したことがあります。

 最近では、本年(2025年)10月末日まで、Fediverseに対応した有料ブログのホスティング・サービスである「Write.as Pro」を用いて、ブログサイトを運営しておりました。

 そのブログサイトのアーカイヴは、下記で公開しております。なお、アーカイヴは「Write.as Pro」のサービス上ではなく、静的HTMLに書き出した内容をほぼそのままの形で公開しております。

 自分が「Write.as Pro」の利用を取りやめることにした理由は、来年(2026年)2月末で契約が満了するので、ギリギリではなく余裕のあるうちにブログを移してしまおうと考えたのが主たる理由ではありますが、そのほかに、自分が「Write.as Pro」に対してとある不満を抱いていたということも、契約更新をしないことにした理由となります。

 その不満点は大きく次の2点です。

  1. 中途半端なFediverse対応
  2. いくら軽量とは言え動的サイトならではの問題は存在する。

 今回自分が問題にするのは1番目「中途半端なFediverse対応」です。

なぜFediverseに対応するなら標準でブロック機能をつけない?

 これは「Write.as Pro」に限った話ではなく、SNS以外でFediverse対応を謳っているプラットフォームの大半に当てはまると思いますが、Fediverseに情報を流す機能のみを重視していて、情報の悪用について想定されていないのではないかと思われます。

 「Write.as Pro」以外では、有名ブログプラットフォーム「WordPress」でFediverse対応を謳うプラグインでもそのような感じでしたし、それ以外のいくつかのプラットフォームでも招かれざる客をブロックする機能がないものがありました。

 まあ、ブログなんて、ネットで公開している以上読もうと思えば読めてしまうと突っ込まれるとぐうの音も出ないのですが、それでも、悪意をもって情報を拡散したり加工したりする者が確実に存在する以上、ブロック機能を用いることで情報を利用しにくくすることにはある程度の抑止力はあると思います。

 ほら。かつてのTwitterでも、いわゆるリツイートの機能がついてからそれを悪用する者が増えたでしょう? それ故に、Mastodonでは当初「引用」機能の実装に消極的で、v4.5.0でようやくある程度の悪用対策がなされた上で実現しましたからね。

 なお、私は同様の理由で、過去に他者から勧められて一時期手を出したことのある「Nostr」というSNSについて、アカウントを完全に放棄しています。アレは仕組み上そもそもブロックという概念がないそうなので、その時点で私のように常日頃から悪意に晒されている者にとっては絶望的に不向きなのです。

 また、Fediverseを含む複数のソーシャルメディアの連携で用いられる「Bridgy」というサービスもありますが、これも連携機能の利用時に悪意ある者からの攻撃を受けたときに対抗する手段が用意されていないことから、本日をもちまして私はこのサービスの利用を終了します。連携自体は有益ですが、自分にとってはそれによるメリットよりも悪意ある者によるデメリットのほうがはるかに大きいと判断したためです。

Write.as Pro」では一度Fediverse対応を設定すると長らくそれを解除できなかった

 現時点では解消されていると思われる問題ですが、長らく、「Write.as Pro」では、一度Fediverse対応を設定するとそれを解除することができませんでした。

 ほかのFediverse対応プラットフォームでそのような実装になっているものがあるのかどうかはわかりませんが、「Write.as Pro」ではその問題があった上に上述の通りブロック機能も無いため、長らく悪意のあるユーザにおびえなければならない状況でした。

分散型は内なる悪意には脆弱

 分散型SNSのメリットのひとつとして語られることに、従来のいわゆる中央集権型SNSと異なり、ひとつのSNSでアカウントが剥奪されたらそこで再起不能になるのではなく、別のサーバーでユーザー登録することにより再起可能という点があります。

 これは、いわれなき理由で大手SNSのアカウントを剥奪されたことのある人にとっては、まさに骨身にしみることなのではないでしょうか?

 しかし裏を返せば、これは正当な理由でアカウントを剥奪されるような輩に対しても再起の機会を与えてしまっていることになります。

 実際に、Mastodon等でもたびたびその手の問題が起きています。とあるスパマーが何度アカウントを剥奪されてもガードの緩い別のサーバーにアカウントを作ってそこで再起する、なんてことも実際に起きています。

 また、私個人も、どういうわけか私個人に対して悪意のある者から何度も粘着され、その都度関係各所に当該アカウントへのブロックを依頼せざるを得なくなる状況に追い込まれました。

 そもそもMastodonでコミュニティを運営している立場で言うならば、いまだにユーザー登録時の事前審査もなければ招待制でもなく、フリーパスでユーザー登録できてしまうサーバーが存在していること自体がおかしいと思うのですが、どうもこういう意見は少数派であるようで、なかなか賛同を得られないのが実情です。

 私が運営するサーバー、特に政治系コミュニティ「LIBERA TOKYO」では、私以外が運営するコミュニティではまずあり得ないような厳しい利用規約を定めている上に、ユーザー登録時も管理者による承認制と招待制を併用しているのですが(本音を言うと完全招待制にしたいのだが内部で反対意見があるためできない)、過去の経緯から、それぐらいやらないとユーザーの言論の自由を守れないということをまさに身を以て感じたためです。

ではどう対策をとれと?

 一個人ユーザーにできる対策は限られます。せいぜい、こんなところでしょうか?

 むしろ、プラットフォームを実装する方やコミュニティを運営する方に、上記の問題をご認識いただき、実装や運営に反映させてほしいと思います。

最後に

 今回は敢えてネガティヴなことを書きましたが、私自身はFediverseの世界を居心地のいいところと思っています。少なくともX(Twitter)とはもはや比較になりませんし、ポストTwitterの有力候補と言われていて、今でも一部界隈からは「左派SNS」と揶揄されている「Bluesky」と比べても、自分はFediverseのほうが性に合っています。

 情報の拡散力はかつてのTwitterには遠く及びませんが、Fediverseであれば、適切なコミュニティに登録し、ブロックやミュートの機能をうまく使えば、ユーザー自身で入ってくる情報をそれなりにコントロールすることができます。特に登録するコミュニティを選べるというのがミソで、最初はとっつきにくいのですが、大手SNSでは真似できないことです。

 私は「清濁併せ呑め」などと言う気はさらさらありません。そもそもそんなことをしたらお腹を壊します。ただ、負の面を知った上でFediverseを受け入れて楽しもうとするのであれば、いざというときにも必要以上に慌てふためかずに済むとは思います。

 それでは、良きFediverseライフを!

参考:私・テルミナ™のMastodonアカウント

 2025年12月14日(日)現在、私は下記のMastodonアカウントを用いています。

Categories:
Tags:
Archives: